建築士試験の難易度と受ける必要性|資格取得のメリットを徹底解説

建築士

建築士試験とは?

建築士試験は、建物の設計や工事監理を行うために必要となる建築士法で定められた建築士資格を取得するための国家試験です。
建物の規模、用途、構造に応じて、取り扱うことのできる業務範囲が定められています。

建築士資格の種類は5つありますが、主な資格である一級・二級と木造建築士を確認しましょう。
一級建築士:大規模・高度な建築物の設計・監理が可能(建物の規模に関係なく全ての建物の設計が可能)
二級建築士:比較的小規模な住宅や中規模建築物の設計・監理を担当できる
木造建築士:木造かつ2階建てや規模の小さい建築のみに特化して設計・監理を担当できる

どの建築士試験でも1次試験では、資格に対応する規模の建物の知識やその周辺知識、さらには最新の技術の動向等を問われる学科試験を突破し、2次試験の製図試験に進まなければなりません。

建築士試験の難易度は?

各試験の受験資格、合格率、総合合格率、勉強時間の目安について確認します。(勉強時間の目安は、資格学校等に通っている人の参考時間です。)

一級建築士試験

受験資格:大学や専門学校で建築系学科を修了+実務経験(または実務経験のみでも可)
合格率:学科試験で約15〜20%、設計製図試験で約35〜40%
総合合格率:毎年 10%前後
勉強時間の目安:1200時間~1500時間程度

非常に難易度が高く、独学だけでは厳しいケースも多いため、資格学校や通信講座を利用する人が多いです。

二級建築士試験

受験資格:建築系の学歴がある場合は卒業後すぐに受験可能。学歴がない場合は実務経験が必要。
合格率:学科試験で30〜40%、設計製図試験で40〜50%
総合合格率:毎年 20%前後
勉強時間の目安:500時間~800時間程度

一級に比べると難易度は低いですが、それでも勉強量は膨大です。特に社会人受験生は時間の確保が課題になります。

木造建築士試験

受験資格:二級建築士と同じで、建築系の学歴がある場合は卒業後すぐに受験可能。学歴がない場合は実務経験が必要
合格率:学科試験で50%前後、設計製図試験で60~70%
総合合格率:例年30~40%程度
勉強時間の目安:300時間~400時間程度

二級建築士に比べて相対的に難易度が低めとされており、建築分野の中では初心者向け資格ですが、その認知度が低く、木造受けるくらいなら、担当できる規模が木造より広範な二級建築士を受験する人が多い印象です。
ただし、木造建築物の設計と施工に特化した資格であるため、木造分野への深い理解が必要です。

筆者の所感

私の過去の勉強時間は下記の通りでした。どちらもS資格通学。
二級建築士:500時間程度(学科、製図1回)
一級建築士:1800時間程度(学科1回、製図2回)

一級・二級どちらの試験も受験したのでわかりますが、二級建築士もかなり勉強時間を確保して質よく勉強しなければ到底合格できるものではありません。勉強時間の目安だけを見て、宅建と同レベルと書かれている記事を見る度、そんなわけねえと感じています。
建築士の製図試験は、どれだけ勉強して、どれだけ作図の練習をしていても、本番の図面内で法律を1つでも違反していると不合格となってしまう悪魔の試験なのですから、学科だけで受かる試験とは比になりません。

また、一級建築士試験は、二級建築士の3倍勉強時間を確保しても合格できるか怪しいと思っています。というか実際に3倍以上の勉強時間が必要でした。資格学校に通って、質の良い勉強時間を確保しても目安以上の時間は確保する必要があることでしょう。

そもそも建築士試験を受ける必要性はあるのか?

「資格がなくても建築業界で働けるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実際、建築士の資格を持たなくても施工管理や設計補助などの仕事は可能です。
しかし、建築士資格があることで以下のようなメリットがあります。

1. 設計・監理業務等の独占業務ができる

建築士資格を持つ人だけが「建築士」として業務を行うことができます。
建築士で無くても設計はできますが、最終的に建築士の設計チェックが必要であるため、無資格者だと1人で仕事をすることができません。また、設計者の欄に自分の名前を書くこともできず、建築士の手柄として取り扱われがちになります。監理業務も同様です。

2. 就職・転職で有利になる

設計事務所、ゼネコン、ハウスメーカーなど、建築関連企業では建築士資格保有者を高く評価します。資格を持っているだけで昇進や給与面で優遇されるケースも珍しくありません。

無資格者でも、実務経験が豊富にあるから他の建築士持っている人より圧倒的に設計力が高いと自信を持っている人がいたとして、転職面接で「私には10数年の豊富な設計の実務経験があります!」と実務経験をうたったとしても、その技術を証明することが難しいのです。
酷な話になりますが、面接官は建築士資格を持っていて、さらに実務経験を持っている人を欲しているのです。

3. 独立開業が可能

資格を取得すれば「建築士事務所」を開設できます。将来独立したい人にとって必須の資格です。
(正確には、実務経験と管理建築士の資格が無いと建築士事務所を開設できませんが、未経験で開設する人はいないでしょうから省略します。)

4. 信頼性・信用度の向上

顧客や取引先に対して「国家資格保持者」であることは強力なアピール材料になります。
特に住宅業界では、施主の安心感につながります。
名刺に建築士と書いてある人と、書いていない人では、言葉の信用度が違うことでしょう。
特に元技術者の建築士が営業職となり営業活動を行うと、技術に対する理解度、言葉の信用度の差で無双しているとのお話を聞くことがあります。
それほど建築業界では信用が重視されているということです。

5. 建築士試験を受ける必要があるか

建築士の資格(特に一級建築士)は、建設業にいる人間からよく「足の裏の米粒」と表現されます。「特に取らなくても良いが、取らないと気持ち悪い」という意味で、建築士を取らなくても仕事することはできるので良いが、取らないと周囲の目もあるし、せっかく建築系の仕事をしているのに、という気持ち悪さがあります。
また、「取らないと気持ち悪い。けど、とっても食えない。」等と言う場合もあります。建築士を取らないと気持ち悪いが、取っても良い収入には繋がらないということです。

これだけを聞くと、取らなくてもいいのではないか?と思いますが、下記のことを考えている人であれば取得をおすすめします。

  • 建築一式の設計を仕事にしたい、建物改修にかかる設計をしたい(古民家等)
  • 建築設備設計や構造設計を仕事にしたい
  • 将来独立して建築士事務所を開設したい

建築設計職であれば、どの規模であっても建築士を取得すべきだと思います。自分の責任で設計することでより良い建築を計画できることでしょう。また、将来設計職で独立を考えているのであれば、真っ先に取得してください。建築士事務所の開設には、資格も実務経験もどちらも必要です。

逆に、施工管理や、現場で施工している人、教育・研究職等の方は、取らなくても何も問題ありません。取らないと気持ち悪いのはわかりますが、建築士を取得して活用するイメージが湧かなければ、わざわざ高いお金と多くの時間を使って苦行に挑む必要はありません。

まとめ

建築士試験は決して簡単ではありません。一級建築士は狭き門、二級建築士も十分な勉強が必要です。また、受験資格を得る難しさ、資格学校に通う等の費用確保の難しさ、社会人でありながら非常に多くの時間を確保する難しさ等、試験自体の難易度意外にも非常に難しいものです。受験しなくて良いのであれば受験したくない試験であることは間違いないと思います。

しかし、資格を取得した先には、”キャリアアップ、独立の可能性”、”信頼・信用度の向上”といった大きなメリットがあります。

「建築業界で長く働きたい」「将来の選択肢を広げたい」と考えているなら、挑戦する価値のある資格であることは間違いないでしょう。

挑戦する皆さんを全力で応援しています!

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