建築士として独立するまでの流れ|必要な準備と成功のポイント

建築士

はじめに

「建築士として独立したいけれど、何から始めればいいのか分からない」

そんな悩みを抱える方は少なくありません。独立には資格だけでなく、資金・経験・人脈・経営力など幅広い要素が必要です。

この記事では、建築士が独立するまでの具体的な流れをわかりやすく解説します。

独立前に確認すべきこと

まずは独立前に以下の点を整理しておきましょう。

①実務経験の有無:設計・施工監理・顧客対応など、一通りの業務経験があるか

②人脈の広さ:仕事を依頼してくれる顧客、協力業者、同業者との繋がりがあるか

③資金の準備:事務所立ち上げや広告費など、数百万円の初期投資が可能か 経営力:設計だけでなく「営業」「契約」「会計」などを一人でこなす覚悟があるか

独立は資格があればできるものの、事業として継続するには「経営者としての意識」が不可欠です。

独立までの流れ

ステップ1:資格を取得する

まず、建築士資格が無ければ建築士として独立できませんから、始めにすることといえば
そう、建築士試験に合格し、建築士になることです。

独立後に、自分が行いたい業務によって、一級建築士か二級建築士か、はたまた木造建築士かを選定して取得する必要があります。

住宅だけを設計する事務所として独立する場合は二級建築士だけで十分かもしれません。
一級建築士であれば大規模建築、二級建築士であれば住宅中心といったように、資格によって業務範囲が異なります。自分が行いたい業務、得意とする分野を明確にすることが大切です。

ステップ2:経験を積む

ステップ1と平行に、もしくは資格取得後から進めなければならないのが実務経験を積むことです。
独立前に設計事務所やゼネコンで数年働き、実務経験を積むことが基本です。

経験を積むにあたって、特に以下のスキルは必須です。

  • 意匠設計・構造設計・設備設計の基礎
  • 建築基準法・関連法規の実務的な理解
  • 施主との折衝やプレゼン能力
  • 施工会社や協力業者との調整能力

たまに、経験無いまま独立して「独立してから実務経験を積めばいい」と仰られる方がいますが、おそらくその人は建築士では無いので無視して大丈夫です。
ステップ3にて出る「管理建築士」という資格が無ければ、建築士として独立して収入を得ることができません。
その管理建築士取得に必要なのが実務経験です。最低でも3年以上、企業の一級建築士事務所所属建築士として業務に従事していく必要があります。

※注意 建築士は施工管理だけをしている人でも実務経験が認められるため、資格を取得することができます。しかし、管理建築士は、設計や監理等の建築士業務を行っている実務経験しか認められないため注意が必要です。

みくろ
みくろ

実は、私が独立を考え始めた時、施工管理業務がメインだったので、独立に必要な実務経験が積めていなかったんですよ・・・
後から知った時はショックでした。

ステップ3:事務所を開設する

独立して業務を行うには、建築士事務所の登録が必要です。

まず、管理建築士講習を受講し、管理建築士となります。
その後、管理建築士欄に自分の名前を記入した開設届を提出し、登録料・手数料を納付します。

※開設届を提出する際は、事務所の所在地(自宅兼用でも可)や必要な設備・事務用品をあらかじめ整えておく必要があります。

また、会社として起業する場合は、開業届などの必要な手続きを済ませたうえで、建築士事務所を会社名義で登録すると良いでしょう。
この流れで進めると、スムーズに事務所業務をスタートできます。

ステップ4:資金調達と会計準備

開業資金の目安は、おおよそ100万〜500万円程度といわれています。
企業に勤めているうちに必要資金を貯められるのが理想ですが、日本政策金融公庫の融資助成金制度を活用することで、独立のハードルを下げることも可能です。

ただし、独立初期は安定した収入を得られないことが多い点には注意が必要です。
たとえ案件を受注しても、顧客からの入金はプロジェクトがある程度進行した後になるケースがほとんどで、開業直後は収入が途絶える期間が発生することもあります。

そのため、少なくとも半年間は収入がなくても生活できるだけの貯蓄を確保しておくと安心です。

また、家計の見直し自宅を事務所として活用する工夫によって、開業後の固定費を大きく抑えることができます。

さらに、会計ソフトの導入税理士との契約は、開業前に早めに準備しておくことで、経理・申告業務をスムーズに進められるでしょう。

ステップ5:営業活動を始める

独立直後にもっとも多い悩みは、「仕事がない」という課題です。
どれだけ技術や資格があっても、まずは自分の存在を知ってもらわなければ仕事は始まりません。

案件を獲得するためには、早い段階から積極的に営業活動を行うことが大切です。
たとえば、

  • これまでの人脈に声をかけて紹介をもらう(元同僚、学生時代の友人、取引先など)
  • ホームページやSNSで実績・得意分野・仕事への想いを発信する
  • 地域の工務店、不動産会社、設計事務所などと連携して下請け・協業の機会を得る
  • 建築系イベントや勉強会に参加してネットワークを広げる

最初は受注単価や案件規模にこだわりすぎず、信頼を積み重ねて実績をつくることを意識しましょう。
一度関係ができれば、継続案件や紹介につながるケースも多くあります。

営業活動は、独立後の成否を左右する最も重要な要素です。
焦らずコツコツと、自分の強みを発信し続けることで、少しずつ安定した仕事の流れを築いていけるでしょう。

独立後に待ち受ける現実

建築士として独立すると、「自分の理想を形にできる」「自由に設計できる」という大きな魅力があります。
しかしその一方で、次のような課題に直面することも少なくありません。

  • 安定収入の確保が難しい(受注の波がある)
  • 営業・経理・法務など、多岐にわたる業務負担
  • 法改正や社会情勢の影響を受けやすい

特に独立初期は、営業や経理など「設計以外の仕事」に多くの時間を取られがちです。
しかしそれらを一つずつこなしていくことで、“自分で事務所を動かす力” が身についていきます。

そして何より、自分の理念を直接クライアントに届け、建築として形にできる喜びは、他では得がたいものです。
このやりがいを支えに、着実に経験を積むことが成功への近道になります。

独立を成功させるポイント

経営を学ぶ
 簿記・税務・契約・著作権などの基礎知識は必須です。
 独学が難しい場合は、税理士や社労士などの専門家に早めに相談することで、後々のトラブルを防げます。

小さく始める
 最初は自宅事務所からスタートし、固定費を最小限に抑える。
 身軽な経営体制でリスクを減らしながら、実績づくりに集中しましょう。

専門分野を持つ
 住宅リフォーム、木造住宅、省エネ設計、リノベーションなど、得意分野を明確にすることで、競合との差別化ができます。
 特定のテーマに強みを持つ建築士は、紹介やリピートに繋がりやすい傾向があります。

継続的な営業
 Web発信、知人紹介、地域イベントやセミナーなど、複数の経路で顧客と接点を持つことが重要です。
 案件がない時期も発信を止めず、「この人に頼みたい」と思われる存在を目指しましょう。

まとめ

建築士として独立する道は、決して平坦ではありません。
営業・経理・資金繰りなど、設計以外の多くの壁に向き合うことになります。
しかし、それを一つひとつ乗り越えるたびに、自分の理想に近づき、信頼される建築士としての力が確実に育っていきます。

「小さく始めて、着実に積み上げる」——それが独立成功の最短ルートです。
あなたの設計理念を形にし、社会に貢献できる事務所づくりを、今日から少しずつ始めてみましょう。

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